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3C分析とは?その目的や具体的なやり方をカンタンに解説します!

かつての日本では、高機能で手ごろな価格であれば商品やサービスが売れていき、ビジネスは成り立ちました。モノや情報が不足し、付加価値も低かったため、新しいものをどんどん買い替えることで顧客は満足していました。

ところが、最近では市場にはモノや情報があふれ、顧客はお金があっても次々に商品やサービスを買うことがなくなりました。生活の先行きの不安が大きかったり、モノや情報は充分だったりしますので、顧客は本当に必要なもの、欲しいと感じるものしか買わなくなっているのです。

そんな市場や顧客の変化に対応しながら、自社の商品やサービスは売らなければいけません。市場や顧客の変化に対応できなければ、競合との競争に敗れ撤退するしかないからです。

厳しい競争に勝ち残り、市場や顧客の評価を上げていくために、マーケティングの重要性がますます高まっています。

今回はマーケティングの代表的な分析フレームワークである3C分析について解説していきます。3C分析はマーケティングのフレームワークの中でも、もっともスタンダードな分析手法ですが、その効果は絶大です。

本記事をぜひ最後までお読みいただき、自社が勝ち残るために3C分析を取り入れていきましょう。

3C分析とは?

3C分析とは?

3C分析とは、ビジネスを取り巻く『3つのC』を分析することよって、自社が取るべき戦略を定めるための分析手法です。

3Cのそれぞれの意味とは?

3C分析のそれぞれのCの意味は以下の通りです。

  • Customer(市場・顧客)
  • Competitor(競合)
  • Company(自社)

この3つのCがビジネスの基本的な構成要素となっています。この3つのCは、どれかが欠けるということはありません。この3つのCを分析することを3C分析と言います。

3C分析とはどんなフレームワークなのか?

3C分析は
Customer(市場・顧客)
Competitor(競合)
Company(自社)
の3つのCを分析するフレームワークです。わかりやすく図式化すると以下の通りとなります。

3つのCを分析することよって、自社が取るべき戦略が策定できます。

3C分析の提唱者

3C分析は、元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長でビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一氏が考案しました。

大前研一氏がマッキンゼーの経営コンサルタントだった1982年、自著である『The Mind of the Strategist』の中で3C分析を提唱しました。3C分析は、世界的に有名なマーケティング分析のフレームワークです。

3C分析の目的

3C分析の目的
(自社の方向性が定まるようなイメージ)

3C分析の目的は、市場や顧客、競合を分析して、自社が取るべき戦略を策定することです。市場や顧客、競合は、それぞれが独立した存在であり、自社が影響を与えて変化させることはできません。

一方で、自社は3つのCの中で、自社の考え方次第で進むべき方向性が変えられる唯一の存在です。

自社の立ち位置を変えず、市場や顧客、競合の変化に対応することはできません。市場や顧客に評価され、競合に勝ち続けるためには、自社を変えるしかありません。

3C分析の目的は、外的環境であるCustomer(市場・顧客)とCompetitor(競合)をしっかりと分析して、Company(自社)が取るべき戦略を策定することです。

3C分析の順番や注意点

3C分析の順番や注意点

3C分析をするには、Customer(市場・顧客)⇒Competitor(競合)⇒Company(自社)の順番で分析を行いましょう。

なぜなら、Customer(市場・顧客)とCompetitor(競合)は自社に影響を与える外的環境だからです。外的環境を分析せずに、自社を分析しても良い戦略は策定できません。

外的環境をしっかりと分析したうえで、自社が取るべき戦略を策定できるように、Customer(市場・顧客)⇒Competitor(競合)⇒Company(自社)の順番で分析を行いましょう。

また、それぞれにおいて注意するべき点は、事実や傾向を正確に分析することです。希望的観測や根拠に乏しい予想ではなく、客観的な事実や傾向を冷静に分析しましょう。

3C分析する際には、スケジュールも立てておきましょう。分析することが目的にすり替わってしまい、分析に時間がかかりすぎるのを防ぐためです。分析に時間をかけても『仮説』を立てただけに過ぎません。

戦略を実行して『仮説検証』することが大切です。分析に時間をかけ過ぎることがないように、戦略を実行するスケジュールまで立てておきましょう。

3C分析の具体的事例

3C分析の具体的事例

3C分析の具体的な事例を紹介します。3C分析がイメージしやすくなり、自社にあてはめやすくなると思います。

代表的な事例としてよく用いられるスターバックスの事例を紹介します。わかりやすくするために、シンプルに分析していきましょう。

スターバックスのCustomer(市場・顧客)は、カフェ市場、そしてカフェを利用する顧客です。カフェを利用する顧客には、とにかく安さを追求する人もいますが、すこし高くても良いからゆったりしたカフェ時間を楽しみたい人もいます。単に休息が出来れば良い人もいますが、仕事や勉強をしたい人もいます。

カフェ市場にはたくさんの競合が存在します。ドトールやベローチェのような比較的安いカフェもあれば、ホテルのロビーにある高級なカフェもあります。最近ではコンビニも競合ですし、家やオフィスで楽しめるネスカフェのバリスタのような存在もあります。

それでは、スターバックスはどんなカフェでしょうか?ちょっと高いけれどおしゃれですし、ゆったりとソファでくつろげます。仕事や勉強で利用できるようWi-Fiを完備しています。

3C分析の具体的事例

安さや休憩が目的であれば、ドトールやベローチェが最適です。外回りの営業マンや買い物で疲れた人でいつもいっぱいです。そんな中で仕事や勉強するのはちょっと気が引けますね。

仕事や勉強がしたい、ゆったりと過ごしたい、そんな人が必ずしもホテルのロビーを利用するわけではありません。ホテルのロビーになるカフェは場所が限られますし、気兼ねなく長居できるはなかなか無さそうです。

そこでスターバックスです。ちょっと高いのは難点ですが、ゆったりと過ごせるし、Wi-Fiがあって仕事や勉強もはかどります。そんな人たちでいっぱいですから、気兼ねなく過ごせます。

スターバックスの戦略は、他のカフェにはない顧客のニーズに応えていて、そのうえで値段もしっかりと取っている素晴らしい戦略なのです。

これはあくまでもスターバックスの例ですが、自社の戦略に落とし込む際に参考にしてみましょう。スターバックスの戦略の素晴らしい点は、価格の安さを追求していないところ、他のカフェにはない差別化された特色を強く打ち出しているところです。

『安いから利用したい』という顧客は外して、『高くても良いので利用したい』という顧客にニーズに応えられたら最高の戦略と言えますね。

3C分析のやり方

それでは具体的に3C分析を行っていきましょう。3C分析においては、事実や傾向を冷静に分析することが大切です。そして、分析で終わらないようにきちんとスケジュールを立てて、戦略を実行していきましょう。

Customer/市場・顧客の分析について

市場・顧客を分析していきます。まずはマクロな視点で大きくとらえていき、徐々にミクロな視点で掘り下げていきましょう。

  • どんな市場のどんな顧客が対象ですか?
  • 市場の規模はどのくらいですか?
  • 市場のトレンドの変化は?拡大?停滞?縮小?
  • 顧客が求めるものは何?
  • 顧客にはどんな特徴がありますか?
  • 顧客の人口、利用頻度、支払う額は?
  • 顧客によって求めるものの違い

市場や顧客をしっかりと分析することで、自社の取るべき戦略が見えてきます。事実や傾向を客観的に冷静に分析して、希望的観測や単なる予想を含まないようにしましょう。

Competitor/競合の分析について

競合の分析について

競合を分析していきます。競合と思われるライバル他社を挙げていきましょう。そして、ライバル他社を分析しましょう。

  • 競合の強み、弱みは?
  • 競合の価格や品ぞろえは?
  • 競合がターゲットとする顧客は?
  • 競合の最近の傾向は?売上、利用者、評判など
  • 競合のプロモーション手法は?
  • 競合の資本力や主な戦略は?
  • 競合となる新たな脅威は?

デジカメはスマホの登場で衰退しました。新たなる脅威になるものがあれば、それも含めていきましょう。

競合の分析では、競合他社のIR情報や信用調査が有効な場合もあります。利用者のクチコミやアンケートなども参考にできるかもしれません。

Company/自社の分析について

自社の分析について

市場や顧客、競合の分析が出来たら、最後に自社の分析を行いましょう。自社にできること、できないことがありますので、それも加味して分析を行うことが大切です。

  • 自社の強み、弱みは?
  • 自社の価格帯、ラインナップは?
  • 自社がターゲットとする顧客は?
  • 自社の顧客が求めているものは?
  • 競合と差別化できている点は?
  • 市場の評価や顧客のクチコミは?
  • 自社の戦力は?自社にできないことは?
  • 自社のポリシーや売上目標は?

市場や顧客、競合を分析した結果、自社にできない戦略を組み立てても意味がありません。また、戦略を策定できたとしても、経営のポリシーや売上目標との整合性がなければ実行ができません。

かといって、実行可能なことだけを戦略に組み込んでも画期的な結果は得られません。自社の分析もしっかりと行うことが3C分析では重要です。

3C分析を自社の戦略に落とし込むコツ

3C分析を自社の戦略に落とし込むコツ

3C分析で策定した戦略は、あくまでも自社の『仮説』に過ぎません。『仮説』は『検証』、つまり実行することによって、正しいかどうかをベンチマークすることができます。3C分析を自社に落とし込むコツは、『仮説検証』を繰り返すことです。

仮説と検証を繰り返すことで、より有効な戦略の策定ができるようになります。

  • まずは仮説を立てて検証する。
  • 検証した後に改善をする。
  • その後も仮説検証を繰り返す

3C分析では、自社の強みや立ち位置を明確に際立たせる必要があります。なぜなら、自社の強みや立ち位置を明確にしない限り、競合との差別化ができず、顧客からの評価も得られないからです。

自社の強みや立ち位置を顧客や競合に対して明確に際立たせるためには、3Cに関する客観的なデータを分析することが大切です。

顧客や競合、自社に関する数値的なデータをたくさん集めましょう。

特に重要なのは顧客の分析です。顧客を分析すれば、競合がどの顧客を狙っているのかが見えてきます。競合が狙う顧客が見えてくれば、自社が狙うべき隙間が見えてきます。

自社が狙うべき隙間こそが、自社が差別化できるポイントであり、そのポイントが自社の強みとマッチしていれば、自社の戦略が定まります。

明確な戦略が見いだせない場合であっても、現状で考えうる戦略を実行してみましょう。戦略を実行すると改善が見えてくるはずです。実行と改善を繰り返しましょう。

自社の狙うべき隙間がどこかにあるはずです。自社の狙うべき隙間を見つけるためには、仮説検証を繰り返す必要があるのです。

3C分析で戦略を自社に落とし込むためにも、仮説検証を繰り返し行いましょう。

さらに高度な分析をするには、4P分析やSTP分析も取り入れよう

さらに高度なマーケティングの分析をして、有効な戦略を策定するためには4P分析やSTP分析も取り入れてみましょう。

より詳しくは別の記事がありますので、参考にしてみてください。

4P分析とは?マーケティングミックスで顧客視点に立った売れる戦略を策定しよう!

【これは使える!】STP分析とは?具体例ややり方をわかりやすく解説【戦略を策定しよう】

まとめ 3C分析とは?その目的や具体的なやり方をカンタンに解説します!

3C分析とは?その目的や具体的なやり方をカンタンに解説します!

本記事では3C分析について解説しました。いかがでしたでしょうか?

3C分析はマーケティング戦略を考えるうえで、もっとも基本的なフレームワークでありながら、非常に有効で効果的です。

まずは市場や顧客の分析をしっかりと行っていきましょう。分析には客観的なデータをたくさん集めましょう。

顧客を分析できれば、競合がどのような戦略で顧客と向き合っているのかが見えてくるはずです。競合が狙っている的がいくつも見えてくるはずです。

競合が分析できれば、競合が狙えていない隙間を探しましょう。競合が狙っていない隙間を見つけたら、自社の強みで狙い撃ちしてみましょう。

自社が狙える隙間が見えない、自社の強みを活かせる隙間がないというのであれば、現状で考えうる戦略を実行してみましょう。そして、その結果から戦略の改善を考えてみましょう。

3C分析のコツは、仮説検証を繰り返すことです。仮説検証を繰り返すことで、自社の向かうべき方向性が見えてくるはずです。

自社の明確で有効な戦略が策定できるまで、仮説検証を繰り返しましょう。

自社で有効な戦略策定が難しい場合は、下記のフォームにお問い合わせください。株式会社StarkWebでは、中小企業・店舗向けのマーケティング戦略の策定をお手伝いをしています。

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